北方稜線
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このピッケル、僕が高校2年生の時初めて剣に入ったとき
買ったものです。当時17歳すなわち41年前のピッケルです。
今は金属のシャフトで軽い、しかし当時学生でお金が無かった僕に
とっては、この木のシャフトのピッテルは非常に大切なものであり、また何度となく滑落した時、命を助けてもらったものです。
木のピッケルと鉄のカラビナ、今は家の倉庫で飾り物になっていましたが、今回一緒に山に入ることにしました。
ところで、なぜ北方稜線なのか!
私は剣岳が好きです、特に仙人池から見上げる八峰・チンネは
何度見ても絶対飽きない景色です。
この景色を見たさに、既に何十回となく仙人池に訪れました。
まだ、山に憧れていた若き頃、1960年代、日本はあちらこちらで初登攀が騒がれていたころ、特に山岳会にも入らず
中学時代の友人と二人で、山渓の雑誌の切り抜きを持ってあっちかな?こっちかな?とこの八峰の稜線を飛び跳ねて
いたことを思い出します。特に丁度、ガストンレビファの天と地の間にの本を読みチンネの横にそびえるクレオパトルニードルに
憧れ登った時が思い出されるが、歳とともに高所恐怖性になった僕にはすでに近づくことも出来ない。当時はこの北方稜線は
クライマーにとって単に岩へのアプローチや下山ルートであったと思いますが、近年北方稜線にチャレンジしたというのが
山屋のステータスになっている??
剣にあこがれ、八峰・チンネが好きな僕にとって下から眺めているだけでなく、やはりなにが何でも北方稜線はチャレンジしたいと
前々から思っていました。
今年は年の初めの目標に「北方稜線」と決め、山靴も新調しジャージも購入しました。
山岳ガイドを雇てでもチャレンジしたいと思っていたところ鈴木君からホンダの仲間で山のベテランで
既に北方稜線の経験がある友人がいるとの連絡が入る。
名前を聞くと平野さん、私もホンダの九州支店にいるとき平野さんとは面識がある、早速お願いをしました。
行きたい気持ちは山ほどあるが、体力的な心配、なにしろ八峰を飛び歩いていた頃は体重68kg、年齢20歳代、
今や、体重86kg、年齢58歳、重たいものと言えばカンピールぐらいしか持たない生活をしている僕にとって
はたして登れるだろうか、と言う不安。
また、北方稜線のホームページをみてもガスに,まかれた死亡率が多く、日が近づくにつれだんだん不安になってきた。
それでも、気持ち的には数回ロックガーデンを10KGのポリタンを担いで登り、体重を2KGほど減らす努力はしました。

翌日はゆっくり、7時に起床。
平日のためか、人も少なく、9時室堂に着く。
アルペンルートから東京組も少し遅れて到着。
平野さんとは23年ぶりかな?面影はある。
メンバーの紹介
CL  平野 喜一 
SL  廣岡 和繁 
    安達 英夫
    鈴木 勇雄
    筆岡 英夫     
チンネ
三ノ窓
小窓
池ノ平
八ツ峰
天気予報では今日は曇りの予報でしたが、すばらしい天気
今日の予定は剣沢山荘まで、のんびりと思いきや・・平野さん
達のペースの速いこと速いこと・・・
ただただ追いつくのに必死・・・
それでも一息入れた時眺める立山連峰、大日岳、遠く薬師岳
何度見てもすばらしい景色だ。
特に5月連休は雄山の頂上直下・ローソク岩からの滑降が思い出される
2時ごろ剣岳山荘に着く、本来なら剣山荘が近いのですが
今年の雪の重りでつぶれ現在建築中。
着くなり即宴会。
剣を見ながら飲むビール、ウイスキー、焼酎・・うまいなー
山の話には事欠かない、夕食の前までに出来上がってしまう、各自7時には寝てしまう。
夜中目が覚めて見えた剣は満月(十五夜)にてらされて
くっきりと見える。
剣を眺めながら明日のコースを楽しみに語り合う
本峰
前剣
源次郎尾根
八ツ峰
午前2時起床、3時出発、ヨットにしろ山にしろ
皆慣れたものだ、時間を決めればそれまでの間に各自行動し、出発の時には全員集まっている。
とにかく、おにぎりをほおばり、遅れないように・・
満月のためコースは明るい。
もうオリオン座が出ている、冬の星座だ。
今日の荷物は昨日と違ってずっしりと重たい、今日の行程には水が無い、人一倍水を飲む僕は4リットル持った。
早々と足がふらついている。大丈夫だろうか??
なんとか、遅れずついていこう。
本峰まで、蟹の横ばい、蟹の縦ばいと言う難所が
あるが、今回は単なる通過点、とにかく高度を稼ぐ。
途中一服剣から富山湾、富山の夜景が奇麗に見える。
前剣あたりからだんだんガズが出だした。
針ノ木岳からの朝日もかすんで見える。
もう本峰も見えない。
だんだん不安になるが、とにかく高度を稼ぐ。
6時本峰に到着
すでに、ガスに覆われ真っ白で何も見えない。
この状態での北方稜線は無理。
皆、あきらめがつかない。
荷物をデポし、長次郎の方に下見をする。
少しはガスがはれて八峰の岩峰を見たいという
願いもむなしく、真っ白な世界。
今回はあきらめようと言う言葉に全員がっくり
と来る、また反面危険なところに行かなくてすんだ
という安心感?も少しはあった・・・・?
(何しに来たんだ・・!)
下る準備をした時、廣岡さんがおもむろにどら焼
を食べた、それを見てどうせ下るのならお湯でもわかして
のんびりしようということになり休憩
もう持っていても仕方が無いので、食べ物、水、みんな
出して小宴会が始まる。

しばらくするとガスが薄くなり、うっすらと太陽も見える。
お腹がふくれ、気分が良くなったのか、それでは行こう
という気持ちになり、2時間遅れで出発!
山小屋の天気図では昼から曇り、後雨の予報だった
少し心配ではあったが、人間お腹がふくれると気持ちもふくれるものだと思う。
本峰からはペンキも無く、ガレ場を行く。浮石が多く
またルートを探すのに苦労する。
時々ガイドが置いてあるのか、小さな石に赤いテープ
が巻いてある置石がある。
時々ガスが晴れ八峰が姿を出す。
若き頃、この八峰の各フェイスを登っていた時代を
思い出す。元気だったな・・・・

また、9月の末ごろ、長次郎から本峰に登った時
すでに雪渓は三分の二ぐらいでクレバスもあり上部はガラ場でたえず落石があり、四つんばいになって必死で登った記憶がある。
知らないとは言え、9月の末に下から登る馬鹿はいないとのこと。
無謀な時代もあった。
長次郎の頭
9月6日の新聞に宝塚の人が剣で死んだと言う記事が出ていた。普段あまり山の死亡記事は出ないのにいやな記事だなと思っていた。
その人は5日、我々と逆のコース、池ノ平から本峰を一人で狙い、この長次郎の頭でルートを間違い、戻ろうとした時滑落し死亡したとのこと。
丁度このあたりだ。
慎重に進む。
小窓の雪渓
まだきれいに残っている。
北方稜線を行く98%のパーティーはここを下り
旧鉱山道から池の平小屋をねらうそうだ。
目の前の登りを考えれば是非とも小窓を下りたいと言う気持ち、しかし本来の北方稜線は池の平山を登って初めて
北方稜線の完走と言うと自分自身に言い聞かせ
仕方無しに??登る。
実は、ここには池の平山登りの写真は無い。
撮る余裕も無かった、まさに小窓から見上げんばかりの
登りだ、それもルート無き道をただひたすら稜線を登る
はい松や枯れ枝、草あるものすべてつかみながらよじ登るといった感じだ、ピッケルが枝にひっかかり余計に体力を消耗する、呼吸も上がる、既に体力は限界に近い
後ろのピークが池の平山(2555峰)
しかし何の道標も無い
今回の行程の中でこの池の平の上りが
一番きつかったのではないかと思う。
本当に長い行程だった。
三つぐらいのピークを行く、登りおえたら
また前にピークがある、また下りそして
次のピークへの登り、とにかくきつい。
いつもならそのまま下山し、また夜の北陸道を
居眠り運転をするのだが、今回は安達さんとのんびり
ウエルサンピア立山に泊まり」粟巣野温泉につかり
北方稜線を思い出しながら、ビールを飲む。
これまた最高!!翌日は安達さんを富山駅に送り
昼間の北陸道をのんびり西宮に向かった。
小窓王南斜上バンドから池ノ谷ガリーを
振り返る。
このガリー、うわさには聞いていたが、落石があってあたりまえ落石が無いほうがおかしい。
5人かたまって慎重に下る。
長次郎のコルへの下り、長次郎の頭のバンドと
ルンゼを越え、長次郎谷側をトラバスして行く。
小窓王
身近に見るとものすごい迫力
やっとガリーを下り終え、足ががくがくしているところに
今度は小窓王南斜上バンドの登りだ、斜度はさほどでは無い
しかし、浮石が多い、また左側は池の谷がスカット切れている
安全をきして、アンザイレンすることをお願いする。
一応、北方稜線の難関を越えたということで
記念撮影。  パチリ!
最後まで一人もかけることが無いように・・・
小窓ノ頭手前のコルへ突き上げる急なルンゼの
雪渓。
平野リーダーのピッケル用意、との合図で全員準備
平野リーダーはなかなか判断力のすばらしい人物だ。
ステップを切り慎重に進む。
稜線のコル付近から池ノ谷尾根ノ頭付近の岩峰。
このヘルメットおかしい??
実はホームセンターの工事現場用。
ヘルメットはスキー、カヌー、バイク等沢山あるが
昔使用していた岩登りのヘルメットはもう無い。
聞くと、現場用が一番いいとのことなので、
一番安いものを購入
しかし、似合っているでしょう。
天気もガスったり、少し晴れたり、天候の不安はあるが
やはり昔とったきねづか?岩の感覚も高度感も慣れてきた。
池ノ谷尾根の頭から見た八峰頭、向こうがチンネの頭。
昔は、この稜線をひょいひょい?と歩いた
ものだ、今は見るだけでも恐ろしい・・
池ノ谷、鳥も通わぬ池ノ谷と言われたものだ
この谷に落ちるとまず死体は出てこない。
もし、小窓王のバンドでスリップすると
この谷に落ち込む。
池ノ平小屋
池の平小屋へのなだらかな下りから
八ツ峰・チンネを真近に見る。
池の平小屋からのチンネ遠望
この景色が好きだ。
特に紅葉の時はすばらしい
小窓から小窓王を望む
とにかく上がったり下ったり、トラバスしたり
藪こぎしたり、体力のみが勝負。
しっかりとした、ルートファインディングが
求められる。
4時やっと池の平小屋に到着。
2時間のロスタイムを入れると、予定通りだ。
お風呂を用意してくれていた。
泊り客は我々5名のみ。
僕のいびきを避けるためか、皆、離れて布団を敷く。
風呂に入り、チンネを見ながらもちろんビールを飲み
歩いてきた道のりを思い出し、全員しばらく想いにふける。
ビールの次は、このために大事に持ってきた、レミーマルタン
ヨットの時も誰にもわからないようにしまってある。
一人で入港した時、一人ゆっくり飲む貴重なウイスキー
今回のため、大事にここまで持ってきた。
北方稜線を完走したときは皆で飲みたいと
水を減らしてでも持ってきた。
うまかった、実にうまかった。!
小屋の親父さんは蛍雪山岳同志会の木下さん
一人のため、まかないは自信がないとの、日本酒を一本
差し入れをしてくださった。
お互い山の話は事欠かない。
僕も30年以上の前、初代小屋の親父さんに関電トロッコ
に乗せてもらった話をする。
古い話だ。
剣沢と長次郎の出会い。
昨日は丁度この長次郎の雪渓の上部を
通って行った。
今年は積雪が多く、剣沢の雪渓は真砂の小屋まで
あり、非常に楽だった。
今日も朝3時起床、4時出発。
思い出にふけてチンネをゆっくり見たかったが
昼から天気がくずれるとの事、また、東京組ははしご段
から内之助、黒四ダムに抜け扇沢へ帰るので早めに出ることになった。
朝4時は満月が丁度チンネの頭上にあり、なんともいえない景色、しかしこれもデジカメには写っていなかった、残念!
薄暗い道を仙人峠に向け歩く、僕は二日酔いのため、気分が
悪く、何度があげそうになり、大分遅れて歩く。
いつもながら仙人新道は上りも下りもきつい。
つくづく、お酒はほどほどにといつも飲んでから思う。
今宵の酒は特においしい。
またまた飲みすぎた。
頭をひやしに外に出た。
丁度満月に照らされた、八ツ峰・チンネがきれいに映っている。
初めて見る景色だ、何度見ても感激する。
写真に撮ったが写っていなかった。
鹿島槍から太陽がのぼり、八ツ峰・チンネが赤く焼ける。
これもまたきれいな景色だ。
昨日歩いた稜線がくっきりと見える。
しかし、よくあるいたものだ。
三ノ窓の雪渓と剣沢の雪渓の出会い、二股は
立派な吊橋が出来ていた。
これをわたるともう、チンネは見えない。
皆で、なごりを惜しむ。
二股からは、いつものルートに雪渓がくずれて残っており、
ダム方面に高巻きさせられる。けっこうきつい。
なんと、昨日雪渓が落ち、緊急に作ったルートだと真砂沢小屋の
おじさんが言っていた。
剣沢の雪渓が切れ、そこから剣御前小屋までの
登りはきつい、いつものことですが。
ただ、もくもくと歩く。
予想どおり、昼から雨が降ってきた。
行く時泊まった、剣沢小屋にたちよりラーメンを食べる
800円、しかし美味しかったなー。
再び雨の中を歩く、風も強い、雷鳥沢の下りでは
全身びっしょりになる、膝も痛い、腰も痛い、あっちこっちが
痛い、痛い、ブチブチ独り言を言いながら、それでも歩く。
最後のとどめ、ミクリガ池の階段きつかったな・・
一般の観光客に追い抜かれて・・・とほほ・・・
それでもなんとか、4時無事に室堂に到着。
着替えもせず、濡れたままバスに乗る。
実は、着替えどこかに忘れたらしい、池ノ平小屋に連絡したが、無いとの事、
剣沢かどこか、アイゼンを出す時、入れ忘れたか??
高価な?着替えだったのに、おしいなーー。
平成18年9月8日〜11日
行く日が近づくと、急に肩が痛くなり、接骨院でリハビリ。
山に行く楽しみより大丈夫か?という不安のほうが大きくなってきた。
9月7日、雨の中、一人で車を走らせる、何回となく夜、立山に向け走っているが、歳とともにだんだんつらい。
何度となく居眠り運転で、ハットする。
午前1時30分にいつもの駐車場に着く、一人わびしくカンピールを飲んで寝る。
東京のグループは早々と扇沢に着き2時まで宴会をやっていたとの事、うらやまし・・・
近づくと意外と斜度はゆるい、しかし、浮石が多く
万が一の落石を考え、慎重に行く。
冬はここは懸垂下降とのこと。
今回の成功は、天候となんと言っても、平野リーダーの的確な判断とルートファインディングだと思う。
永年持ち続けた、北方稜線を成し遂げた感激とこれから何度もおとづれるだろう、池ノ平、仙人池で
八ツ峰、チンネを見上げた時、やって良かったと語れる喜びがある。
来年もこのメンバーで源次郎尾根をやりましょう。
平野さんよろしく!!
岩稜を行く、遠くに剣尾根を眺める。
高度感は十分にある。
池ノ谷から見るドーム、遠くに富山湾
富山の市内が見える
池ノ谷から岩登りをする人はこの稜線を行く。
もちろん今回は行かない
真砂小屋のオーナー、佐伯成司さんのHP
チンネの頭
仙人池小屋
2555メートル山頂
小窓の雪渓、スキーで下れば早いけれど・・・
登ったり、降りたい、いい加減しんどい。
僕が衆議院議員になったらこの稜線に橋を着ける。
僕が総理大臣になったら、池ノ平山までロープウエイ
を付け、スキー場にすることを公約とする等、
勝手なことを約束?しながらただただ歩く。
(もちろん誰も聞いてはいない)
右手は長次郎谷、左手は池ノ谷が望め
左後ろは剣尾根が鋭く駆け上がっている。
今度は池ノ平小屋までの下り。
右手に八ツ峰を身近に見ながらのくだり。
ルンルンではあるが、すでに膝はいたい。
また、ブヨもハエも多い、道の真ん中に
大きな熊のふんがある。
もっと端ですればいいのに、非常識な・・・・
廣岡氏
鈴木氏
安達氏
平野氏
筆岡氏
長次郎コルへの下り
長次郎左股より八峰を望む
中高年山登りの報告ホームページもごらん遊ばせ!



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池ノ谷ノ頭、目の前に八ツ峰・チンネの鋭い
岩峰があり、なかなかの迫力。
この小さなピークからは、やせた岩稜を下り
池ノ谷乗り越しへ。
チンネの頭
慎重に下る安達氏
岩の連続、また岩がもろく、落石を注意しながら
慎重に進む。